高品質なデリバリーを支える人材活用とその戦略

株式会社出前館

目次

    株式会社出前館
    取締役
    清村遙子さま

    コロナ禍で外食からフードデリバリーへ、自宅で食事をする「中食」への転換がおこっている。事業拡大の機会と捉え、出前館も2023年中に加盟店数を10万店にすると中期経営計画が発表された。それに伴う採用強化のなかで、従業員の働く環境をどのように整えていくのか、出前館の従業員に対する試みや考え方、今後の施策について株式会社出前館 取締役 シェアリングデリバリー本部管掌の清村遙子さまに伺った。

    シェアリングデリバリー事業の経緯と現在のミッションについて教えてください。

    出前館は22年前に創業したときはチェーン展開されているピザ屋さんなど、自社でデリバリー配達をしている飲食店とお客様をつなぐマッチングサイトでした。サイト加盟店になっていただく飲食店がデリバリーを始めるには、バイクの購入や交通事故のリスク、それに加えて配達員を雇うといったハードルがありました。そこで配達機能を持たない飲食店でも、『出前館』が用意する配達代行機能をシェア利用することで、出前が可能になる配達代行サービス「シェアリングデリバリー®」を立ち上げました。

    立ち上げから参画し3年経ちましたが、新たな3カ年計画では、シェアリングデリバリー®の拡大を通じて、単なる食事のデリバリーサービスから、これからの日本に欠かせないライフインフラへ、より強固なサービスにしていくことをミッションとしています。

     

    強固なサービスに向けて、どのような組織で事業を推進されているのでしょうか?

    一番最初は朝日新聞グループさんや地元の運送会社さんといったパートナー企業に配送を委託する形式で配達拠点を増やしていたのですが、「デリバリーの日常化」を掲げてスピード展開していくためには、パートナー企業と交渉していては時間がないということで、直営拠点を立ち上げる選択に切り替えました。

    デリバリー拠点には、店長がいて、6~7名のアルバイトリーダー、その下にクラウドワーカーやギグワーカーを含めてアルバイトがだいたい300~400人おります。そして店長をまとめるスーパーバイザーやマネージャーがいるという組織体制です。

    運用部隊の他には、企画部隊やクレーム対応の部隊・新規出店の部隊がありますが、特徴的なところとして、出前館の全社人事とは別にデリバリーコンサルティング本部『専門』の人事チームを独自でもっております。
    新卒や正社員の採用、給与計算・勤怠管理などの全社を動かす仕組みの検討や導入するといったことが全社の人事のお仕事であるのに対して、我々の組織の人事は各拠点に配属する店長の中途採用や全社人事が採用した正社員の育成やフォロー、アルバイトの採用から育成・定着まで拠点の人材支援のすべてを行っております。

    組織内に人事チームといったコスト部門を置くことは、働く環境や従業員の管理/育成に重点を置きたいという意思の現れです。本社で働く正社員とエリアの店長を同じモノサシで評価するべきではないですし、元々マッチングプラットフォームだった企業が直営のデリバリー拠点を持ち、実業に足を踏み入れたことになったので、マネジメントや組織の形態を独自の枠組みで考え、就業規則の管理や労務問題が発生した際に対応できるように、専用の部隊をつくったという経緯になります。

    人材獲得で苦労されている点や意識している点はありますでしょうか?

    コロナウイルスの流行や緊急事態宣言によって、飲食店さんが非常に苦しい状況になっていて、デリバリーの配達員が増えているのがここ1年の状況です。それまではある程度人の確保に苦労しておりましたが、応募者数も増加し採用コストもぐぐっと下がっております。

    採用では『きちんと定着していただく』ということが大切なのだと考えております。デリバリーの特性上、1日目より2日目、2日目より3日目の方が絶対に早くきれいに届けられます。私も今もたまに配達してますけど、全然知らないエリアに行くと配達に時間がかかるんですよね…。
    いつものエリアだと、だいたいこの道を通っていけばお店がここにあるというのをわかっているじゃないですか。そういう理由で、何度も働くことと配達品質があがるということは関連性があり、配達員の方が、より良い環境で長く働いていただくことが大切であると意識し続けております。

     

    従業員満足度調査(以下、ES調査)を定期的にされているとお伺いしましたが、どのようなことをみられているのでしょうか?

    はい、拠点も多くなっているので拠点ごとの傾向などを見ていますが、まずは回答率をみております。回答率が低いということは、出前館に対するマインドシェアが低いということ で、それが職場への評価だな、と思っております。

    また、ES調査だけではなく、出勤率や稼働率も見ております。学生さんであっても安定的に稼働しているのか、休んでいないか、などを見ることによって、店長などの”人”に依存するコミュニケーションの問題であったり、寒さ対策のベンチコートが不足しているといった物理的な問題に気づくかもしれないからです。

    結局、退職の最大の要因は、稼げるか稼げないかということ以上に『働く環境が悪い』ということのほうが多いとおもいます。「明日、天候が悪いからしっかり備えて頑張っていこう。」といった現場のコミュニケーションが最も重要ですが、現場任せにせずに、従業員にヒアリングを行い現場を知る努力をこちらがしないといけないと思っております。
    急速に事業拡大してきたことで、従業員の要望に応えきれていない点もたくさんあることから、ES調査を行い、フィードバックをもらって、日々改善に努めております。

     

    日払い対応は、どのような理由で導入されたのでしょうか?

    一時的な配達員の増加のために、スキマ時間に出前館で働いてもらう日雇いのスキームを作ったのですが、私たちには日払いができる体制がありませんでした。どうにか週払い対応をすることにしたのですが、経理や勤怠を締める工数が多く、現場には負担をかけてしまい、とても辛いことを長い間やっておりました。週払いのニーズは人材獲得において一定の効果はありましたが、週払い対応を続けていても、他の企業様の日払いの求人に人材が流れてしまうということもあり、随分と悶々とした時期がありました。

    キュリカサービスを導入したことで、勝手にやってくれるという言葉が適切ではないかもしれないですが、業務負荷をかけずに従業員が働いたらすぐにATMで給与を受け取れるようになりました。とてもありがたいなと思っています。デリバリー業界において週払いが一般的になってきているなかで、出前館が日払い対応ができていることは、ひとつの強みだと考えております。日払いで支払うことは、従業員がその都度引き出せるだけでなく、”好きなタイミング”で引き出せるようになったことが重要なポイントだと考えており、給与の受け取る日を従業員に決めてもらうのが業界のスタンダードになるかもしれません。

    さまざまなデリバリー事業が参入してきておりますが、今後の競争力はどのようなところでしょうか?

    まずは、稼げるプラットフォームであること。これは1配送あたりの単価が高いということや沢山のオーダーが入ってくるということです。1時間に1件しか取れないよりも3件取れるところのほうが当然いいわけなので、配達員のためにも、ユーザー数とユーザーのリピート率・飲食店の数を上げていく必要があります。

    次に、信頼されるプラットフォームであること。従業員へのトレーニングも含めて、安心して働ける環境をつくっていくことや、ユーザーへいかに安心安全なサービスを届けられるのか、ということをよく社内で議論しております。

    そのためにユーザー2万5000人を対象にアンケートを取り、配達品質とはなにかを定義し、その向上に努めております。

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    【配達品質】

    1.アツアツであること
    できたてのままお届けする

    2.配達員の身だしなみ
    言葉遣いに合わせて、見た目をきちんとしておくこと

    3.速く、時間通りお届けすること
    早すぎず、遅すぎず、約束した時間にお届けする

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    一部取組みを紹介すると、アルバイトや業務委託などの契約形態に関わらず、採用段階から敬語がしっかり使えているか、身だしなみに問題は無いかといった点も徹底して確認しております。また、初めてデリバリー業界で働かれる方でも安心して働いていただけるように、希望があれば配達時の追走もしております。

    急拡大している中で、色々な方に働いてもらっているので、一人ひとりがしっかり働ける仕組みを整え、個人のせいにしないような環境整備を行っております。

     

    色々な方というと、シニア雇用率30%を目指すといったリリースも拝見しましたが、思惑はどういったものでしょうか?

    そうですね、シニアの方の雇用についてはコロナ禍で一時トーンダウンしておりますが、誰でも働ける環境を作るというのは3年前に事業を始めたときからの思想です。初めからできる人だけを雇用するのではなく、できる人に育てましょう、といったスタンスでおります。シニアの方でも働きやすいということは誰にとっても働きやすいといえるので、そういう状態を目指しております。デリバリー戦争と言われてますが、いかに配達員を多く集めて、質を高めるかということが、競争に勝っていくためのポイントだと考えております。

    その中で今最も注力しているのが、女性が働きやすい職場づくりです。
    これまでのデリバリーというと”男性がバイクに乗ってやる仕事”であったことから、物理的な環境が整っておらず、女性の店長などから「トイレが辛いです」とか「着替えるところがないんです」といった声があがっておりました。そういった要望に応えるために、2020年12月に東京都江東区大島でオープンした「クラウドキッチン」では、女性専用トイレや更衣室を作りました。

    また環境整備に加えて、周りに女性がいるのかといった点も重要と考えております。職場に女性がいることやアルバイトのリーダーが女性であることで、同じ環境の人が上にいて相談しやすく、さらなる人材確保・定着にも繋がります。そのため女性のリーダーを育てていかなきゃいけないですし、その点については出前館はもっと貢献できると考えております。

     

    最後に当社・当社サービスにコメントいただけますでしょうか?

    先程申し上げた通り、出前館の事業拡大には「信頼されるプラットフォーム」であることがとても大事です。信頼されるためには教育も必要ですが、お金を「きちんと」「素早く」「高く」「安全に」支払うことも、従業員にとっては非常に重要なことです。それがキュリカサービスで実現できていると考えております。

    ちょっと恥ずかしい話ですが、キュリカサービスを導入する前はスキームがない中でどんどん走ってましたので、お給料の支払いに関して、配達員の方にご迷惑をおかけすることもありました。絶対あってはいけないことですが、過去のやり方では起こりうる可能性がどうしても出てきてしまいます。 キュリカサービスにお任せしたことで、従業員にただ案内するだけで日払い対応が行えるようになり、日払い対応ができるなら出前館で働きたいといった人の流れができるようになりました。また、日払い対応の負荷を減らし、リスクもグっと軽減することができ、大変助かっております。これからも事業拡大のためにキュリカさんといろいろ一緒にやっていけたらと思っております。

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