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給与の先払いは認められている?福利厚生で人気の給与前払いサービスとは

[2021.04.16]

目次

    従業員から給与の前払いを頼まれたことはありませんか。給与の支給は月に1回行えば問題ありませんが、従業員の事情を考慮して前払いに応じている企業も数多くあります。
    給与を前払いした場合は、給料日にはその分の金額を差し引いて支給することになります。今回は、給与の前払いに関して法律上どのように扱われているのか解説していきます。

    給与前払い(先払い)に関する法律

    給与の支払い方法や支払時期については労働基準法で規定されています。通常であれば、毎月1回以上一定の期日に支払われていれば問題ありません。実際、ほとんどの企業で毎月1回の給料日を設けており、その日に1ヶ月分の給与が支給されています。

    従業員から給与の前払いの依頼があった場合、通常であれば企業側は応じる法律上の義務ありません。しかし、緊急時には、一定条件のもとで給与の前払いに応じなければならない、という規定も設けられています。また、これとは逆に給与の前払いを行うことで、労働基準法に違反してしまうケースもあります。

    1.1緊急時は可能

    給与の前払いに応じる必要がある場合については、労働基準法25条に規定が設けられています。この規定により、労働者が出産するときや疾病を患っているとき、災害に見舞われたときなど、緊急時には企業は給与の前払いに応じなければなりません。ただし、直ちに給与を前払いするのではなく、あくまで従業員本人が前払いを希望した場合に対応が必要です。特に従業員からの希望がなければ、通常通り給料日に全額を支給しても問題ありません。

    また、労働基準法施行規則により、従業員本人だけでなく養われている家族が緊急事態に見舞われた場合も対象にしています。労働者本人と家族の結婚や死亡、やむを得ない理由で1週間以上帰郷するときも対象です。
    なお、労働基準法の規定で前払いの対象となるのは、既往の労働に対する給与のみです。まだ実際に働いていない分まで前払いする義務はなく、勤怠データを参照して前払い可能な金額を計算する必要があり、やや手間がかかります。

    1.2前借はNG

    給与の前払いと類似するものに給与の「前借」があります。広義の意味で前借も前払いの一種です。しかし、多くの場合、給与前払いといえば既往の労働に対する分を給料日前に支払うことを指します。対して、前借とは従業員がまだ働いていない分の給与を先に支払うことです。
    法律上、給与前払いは問題ありませんが、前借は労働基準法に違反してしまう可能性があるため注意が必要です。労働基準法17条において、賃金と借金の相殺を禁止する旨の規定があるためです。

    従業員がまだ働いていない分の給与を前借することは、勤務先が従業員に対して貸付をしていると捉えられ、前借した分を後から働いて次の給料日に支給される給与から差し引くことを前提にしています。差し引く=相殺であるため、先に述べた労働基準法17条で禁止されている内容に当てはまります。

     

    給与の前払い(先払い)をするためには?

    給与の前払いは、労働基準法25条で規定されている緊急時に従業員が希望した場合以外でも行うことは可能です。緊急時以外の大きな出費がある時に給与前払いができれば従業員にとっても便利でしょう。

    しかし、あらかじめ決められている給料日以外に給与を支給することは、企業にとって大きな負担です。通常なら、給与計算を毎月1回行えば済むところ、前払い時にはその都度計算しなければなりません。
    給与前払いを導入するためには、次のような準備を進めておきましょう。

    2.1企業ごとにルール(制度)づくりが必要

    困窮している従業員に対して、給与の前払いを個別に対応している企業も多いことでしょう。しかし、従業員にとっては給与の前払いがどのようなときに認められるのか判断し難く、利用したいときに利用できないケースも考えられます。
    労働基準法25条で規定されている緊急時以外に、給与前払いを行う場合、どのような条件であれば対象になるのか明確にしておく必要があります。緊急時以外にも、まとまった金額のお金が必要になるときがあるでしょう。特定の状況をいくつか挙げて、前払いできる条件あらかじめ定めておくと、スムーズに対応できます。

    また、理由を問わずに前払いできるという取り決めを設定することも可能です。ただし、企業側はその都度対応しなければならず、経理や総務などの業務負担が重くなってしまいます。そのため、申請可能な時期や回数などに関してルールを設けるなど、経理や総務の負担も抑える工夫をすることがおすすめです。給与前払いに関してルールが定まったら、就業規則などに明文化したうえで、従業員に周知しておきましょう。

    2.2給与前払いサービスを導入する

    給与前払い制度を導入するにあたり、自社内で支払い手続きや事務処理を行うのではなく、社外のサービスを利用する方法もあります。そうすることで、総務や経理の負担はほとんど増えることはありません。給与前払いサービスでは、専用のシステムやカードを利用することができるため、書類、捺印などの手間のかかる処理が必要ありません。また、コンビニATMで引き出しができたり、事前申請がいらないなど、サービスによっては従業員にとっても非常に便利に利用できます。

     

    給与前払いサービスに問題はあるのか?

    給与前払いサービスについて、しばしば法律上の問題が指摘されることがあります。給与前払いサービスを検討する場合、そのような問題に抵触しないサービスであることを確認しておくことが必要です。
    それでは、どのような点で給与の前払いサービスに問題があると指摘されているのか見ていきましょう。

    3.1給与前払いサービスの問題点

    給与前払いサービスの多くは、企業に代わってサービス運営会社から従業員に前払い分の給与が支払われる仕組みです。この点について、従業員はお金を借りていることになり見方によっては給与が担保になっていると解釈できてしまいます。また、労働基準法における企業からの給与の「直接払い」の原則にも反しているとも捉えられます。

    また、給与前払いサービスのなかには、前払い分の給与を企業に代わり一時的に立て替えてくれるものもあります。実際に企業が事前にお金を用意することなく前払いができるため、キャッシュフローが変わらず企業からみても便利に利用できます。。しかし、この点について、給与前払いサービスの運営会社が提携企業に対してお金を融資しているという解釈もできてしまいます。
    従業員への前払いや、利用企業への前払い金の立て替えが貸付に相当する場合、前払いサービスの提供事業者は貸金業の登録をする必要があります。しかし、多くは貸金業登録をしていない点が問題視されています。

    また、給与前払いサービスが貸付だという前提に立てば、手数料は実質的に利息とみなされます。前払い金額や給料日までの日数によって法定金利(上限20%/年)を超えてしまうと、違法となる可能性もあります。こうした問題点についてグレーゾーン解消制度により金融庁が回答を示しています。
    *グレーゾーン解消制度とは、規制が行われている分野に関して、事業者が政府に照会して確認を求めることができる制度です。これにより、規制の対象になるかどうかわかりづらいことに関して、あらかじめ政府の判断を知ることで安心してサービスを提供できます。

    3.2金融庁の回答

    金融庁では給与前払いサービスは貸金業には該当せず、貸金業登録も不要という回答を行いました。

    貸付を行う際は、通常信用調査が実施されます。現在の年収額や他社からの借入の状況などから、返済が可能だと判断された場合のみ貸付を行う流れとなります。対して、給与前払いサービスでは従業員の信用調査は実施していません。提携企業の従業員なら信用力にかかわらず誰でも利用することができます。

    このことから、実態として従業員に対する貸付には該当しないというのが金融庁の判断です。提携企業に対しても信用調査は行われておらず、貸付には該当しないと判断しています。また、給与前払いサービスを利用する企業は、前払いのための支払能力補完のために利用しているのではありません。あくまで、自社内で行う事務処理の負担を軽減することが目的で利用しています。また、貸付に該当しない以上は、手数料も利息として扱われることはありません。

     

    給与前払いサービスのメリット

    給与前払いサービスは福利厚生として従業員から需要や人気があるだけでなくく、導入企業にとってもメリットを得られます。

    4.1求人への応募数増加に活用

    職種や業種によっては人手不足が深刻化しており、求人募集してもなかなか応募者が集まらないことが多くあります。人手不足の状態が長く続けば、既存の従業員の業務負担も重くなってしまうでしょう。
    人材難に悩む企業が給与前払いサービスを導入することで、応募者の興味関心を引くことができます。魅力的な働き方や福利厚生を提供している企業であれば、求職者の目に留まりやすいでしょう。

    学生やフリーターなど、アルバイトやパートの求職者には正社員以上に給与前払いのニーズが高く、非正規労働者の求人募集には特に有効です。
    実際、求人広告媒体の人気検索ワードでは、「日払い」「前払い」等が常に上位にランクインしており、その需要の多さが窺えます。

    4.2従業員満足度の向上

    充実した福利厚生を導入することで、既存の従業員にも好影響を与えます。気軽に給与前払いができれば、生活の利便性が上がります。カードローンや給与ファクタリングの利用を防ぎ、日々のキャッシュフローを円滑にする効果もあります。
    従業員満足度が上がることで仕事へのモチベーションも上がり、長く働く従業員が増え、人材流出の抑制も期待できます。

    また、一般的に従業員満足度の高い企業は、顧客満足度も高めの傾向にあります。生産性の高さが、自社商品・サービスの質も向上させるのです。そこからさらに売上や利益のアップにもつながります。

     

    まとめ

    給与は通常月に1回の給料日に支給すれば問題ありませんが、緊急時には既往の労働分に関して前払いの申請があれば許可する必要があります。また、福利厚生の一環として任意のタイミングで給与の前払いを実施する企業もありますがただし、法律上給与の前払いは既往の労働分に対してのみ対応可能であり、まだ働いていない分の前貸しは違法になってしまうため注意しましょう。

    給与前払いを自社内で行うことは非常に手間がかかるため、外部の給与前払いサービスを利用することがおすすめです。会社の事務負担が減り、従業員にとっても便利に利用できます。求人を募集する際に福利厚生としてアピールすることができて、人手不足解消、ひいては生産性の向上にもつながるでしょう。

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